論文「『モンテネグロ語』の創出」が出ました

 三元社から発行されている『ことばと社会』誌の第15号に,論文「『モンテネグロ語』の創出――ユーゴスラヴィア解体以降の言語政策と言語状況(1992-2011)」が掲載されました.雑誌の詳しい目次は,三元社のホームページを参照してください.

 ことばと社会 15号 特集:ネット時代のことばと社会

 正確な書誌情報は,

・中澤拓哉「『モンテネグロ語』の創出――ユーゴスラヴィア解体以降の言語政策と言語状況(1992-2011)」『ことばと社会』第15号,2013年,180-206頁

です.本稿は匿名の査読者による査読を経ています.査読者の方々のおかげで理論的問題がクリアになり,より読みやすいものになったのではないかと思います.この場で感謝を申し上げます.

 三元社の『ことばと社会』誌は,積極的に沖縄語やアイヌ語の文章を載せ,別冊ではケルト諸語による論文要旨をつけるなど,少数言語の復興に多大な貢献をしている雑誌です(わたしの論文は,その「少数言語の言語権」という理念がどのように旧ユーゴスラヴィア諸国でナショナリストたちに利用されているか,という少しひねくれた問題を扱っているのですが).ですので,今後とも同誌が継続して発刊されるためにも,是非とも購入していただきたいと思います.

 ちなみに,本論文のタイトルは,齋藤厚氏の論文「『ボスニア語』の形成」(『スラヴ研究』第48号,2001年)へのリスペクトだったりします.氏の論文の水準に達することは未だにできそうにありませんが,本稿が旧ユーゴスラヴィア地域における言語問題を知るための,足がかりになれば幸いです.