地域文化研究専攻の紀要が電子化

 わたしが所属する東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻(長い!)の紀要『年報地域文化研究』『Odysseus』は,従来電子化されていなかったのですが,最新号からついに電子化されました.

 UT Repository: 年報地域文化研究 The Komaba journal of area studies, the University of Tokyo
 UT Repository: Odysseus 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻紀要

 前者は院生や卒業生の論集で,査読も付き,高水準の論文が度々掲載されています.後者は主に教員が書いています.

 従来,この2誌は電子化されていなかったため,せっかくいい論文が載っているのにあまり人の目に留まることがありませんでした.学会誌ならともかく紀要なので,置いてある図書館にも限りがあり(なにせ,早稲田大学中央図書館にすら置いていなかったのです),専攻事務室に行けば無料でもらえるのですがそこまでして読もうとするのは少数派でしょう(ちなみにわたしはその少数派です.2005年から2008年にかけて『年報』にユーゴ関連の論文が連続して掲載されていたので,院試の説明会のついでに事務室にお邪魔してもらってきました).今回の電子化は地域文化研究専攻に所属する院生の成果がより可視化されやすくなるということですので,非常に嬉しいです.まだ最新号の電子化だけですが,過去の号も順次電子化されることを期待しています.

 なお,東大では色々な紀要が電子化されていますが,わたしがよく読んでいるのはドイツ・ヨーロッパ研究センター(DESK)が出している『ヨーロッパ研究』.創刊号からずっとPDFでオープンアクセスになっているので,是非読まれてみてください.

 センター刊行物:DESK

 ちなみに『Odysseus』の最新号には,3月をもって定年退職されたわたしの修士課程時代の指導教員,中井和夫先生の論文も載っています.日本のウクライナ研究を牽引してこられた先生の現役最後の論文とあってウクライナ語で書かれているためわたしもまだ読んでいないのですが,読める方は是非(いちおう修士論文ではウクライナ語文献も使ったのですが,さすがに分野違いのものとなると厳しいです).というか,日本で出ている雑誌にウクライナ語の学術論文が載ったことって,これまでにあったのでしょうか……? さりげなく快挙かもしれないですね,これは.

 UT Repository: Михайло Павлик до проблеми некрологу на смерть Маркса